歯周病のメカニズム

歯周病は感染症です

歯周病は歯周病菌の感染によって引き起こされます。
歯周病菌は人間の口腔内に存在する常在菌の一つです。通常は悪さをしない菌なのですが、一定の条件がそろうと身体が歯周病菌に対して免疫反応を起こし、炎症をおこしてしまいます。
歯周病菌は歯と歯肉の隙間に住み着きやすい菌です。この隙間を歯周ポケットと言います。歯周ポケットは通常2~3mm程度と浅いので歯みがきなどをしっかり行うことで、汚れや細菌が溜まらないようにすることができるのですが、歯肉に炎症が起きると歯周ポケットが4~5mmと深くなってしまいます。歯周ポケットが深くなればなるほど歯周病菌を除去することが難しくなり、菌が徐々に歯茎の下にある骨を溶かすようになってしまいます。

第一段階:歯周炎

歯磨きをすると歯ぐきから血が出る、歯ぐきが赤い、腫れぼったいような状態です。
歯肉炎の状態では、歯ぐきに炎症があるだけで、歯槽骨や歯根膜には影響が出ていません。
この段階であれば、原因となっている歯垢、歯石の除去で症状が改善する可能性があります。

第二段階:軽度歯周病

歯周病が進行し始めると、歯を支えている骨=歯槽骨が溶かされていきます。
軽度歯周病では、歯槽骨が溶かされはじめ、歯周ポケットが深くなってきます。部分的に歯周ポケットは4~5mm程度あり、歯ぐきから血が出る、歯ぐきが下がるなどの症状が出てきます。
軽度の歯周病では、歯周病の基本治療だけでも症状が改善する可能性があります。

第三段階:中度歯周病

全体的に歯周病が進行し、歯槽骨が溶けてきている状況です。
歯周ポケットは全体的に4~5㎜、もしくは部分的にさらに深い部分も出てきます。歯ぐきが下がる、口臭がするなどの症状も出てきます。
レントゲン画像でも、歯槽骨が溶かされてきていることが確認できます。

第四段階:重度歯周病

歯周病が進行し、重度になると、歯がぐらぐらしたり、歯ぐきに膿がたまるなどの症状が出てきます。
痛みを伴うこともありますが、まだこの状況でもほとんど痛みがないという場合もあります。
歯周ポケットは部分的に6mm以上となり、基本的な歯周病治療だけでは治癒が困難で、歯周外科や歯周補綴の併用や、場合によっては抜歯が必要になります。

歯周病の蔓延

歯周病が
蔓延している理由

歯周病が蔓延してしまう理由の一つとして、「歯が痛くならないと歯医者にはいかない」という人が多い点が挙げられます。
歯周病は初期には自覚症状が乏しいので気付かないまま過ごすことになってしまいます。
定期的に歯医者に通っている場合は早期発見早期治療が可能なので初期の段階でしっかりと治すことができます。
一方で、歯周病治療を行っていても途中で勝手に治療を止めてしまう人が多いのも歯周病の特徴です。
「何度も通っていても良くならない」「治療が痛くて行きたくない」といった患者様の声も多くきかれます。なぜ歯周病治療は長引いてしまうのでしょうか。

歯周病が治療が
長引く理由

一般的な歯周病治療では、口腔内を複数のブロックに分け、各ブロックごとに通院して治療を進めていきます。
そのため、クリニックによっては1年近く通院する場合もあります。
また、全てのブロックの治療を終えるまでに時間がかかるため、治療済みのブロックに歯周病菌が再感染し、さらに治療が長引いてしまうこともあります。

歯周病の原因

歯周病には主に3つの
原因があります

歯周病は下記の3つの要因によって発症します。これらの原因を取り除いていくことで、歯周病を根本から治していきます。

口腔内の環境に
よるもの

歯垢は、毎日の歯磨きなどで取り除くことができますが、歯磨きの仕方が上手に磨けていないと、完全には取り切れていないことが多くあります。
歯垢は時間が経ってしまうと、歯磨きなどでは取り除けない硬い歯石に変化してしまいます。
歯周病予防においては、患者様自身の日々の正しいブラッシングによる歯磨きが重要ですので、当院では歯科衛生士による正しいブラッシング指導(TBI)も行っております。
歯垢や歯石は当院の歯周病ケアでしっかり取り除くことができますので、定期的なメンテナンスを行うことをおすすめします。

歯にかかる力に
よるもの

咬み合わせが悪いなど、一部の歯に負担かかかっている場合、歯は磨耗しやすくなります。歯は垂直な力には強いのですが、斜めや水平方向への力へは耐性があまりありません。
そのため不正咬合があると、歯が斜めに揺さぶられてしまい歯と歯ぐきの間の隙間が深くなります。深くなった隙間に細菌が入り込むことで歯周病になってしまうのです。
他に、くいしばりや歯ぎしりなどによっても歯には大きな負荷がかかります。これらは矯正治療や、仮歯を装着し歯間形態を整えることなどで改善していくことができますので、歯周病治療の初期治療として咬み合わせの治療を行う場合もあります。

生活習慣によるもの

糖尿病や高血圧、血液疾患などの持病がある方は体の抵抗力が落ちますので歯周病を発症しやすくなります。また、食生活や喫煙の習慣も歯周病には大きく影響しています。
歯周病は感染症ですので、病気やストレス、睡眠不足など、体の抵抗力が落ちている時に感染してしまいます。適度な運動や十分な睡眠で健康を保っていただくことも歯周病治療にとっては大切なことなのです。
当院では、生活習慣に関しましても、歯科医師や歯科衛生士の専門的な知識をもとに、患者様にアドバイスをさせていただいております。

歯周病治療の種類

歯科衛生士による
歯石除去

歯と歯茎との隙間を歯周ポケットと呼びます。この歯周病ポケットに歯石が溜まり、歯周病菌が住み着くことで歯周病は悪化していきます。
歯周ポケットの深さによって、軽度、中度、重度に別れます。当院では歯科衛生士が1本1本丁寧に歯石・歯垢を除去していきます。

短期集中歯周病治療

全ての歯の歯石を一気に除去し、抗生剤を併用した内科的アプローチも行うことで口腔内の細菌バランスを整える治療です。

歯科医師による
歯周外科治療

重度な歯周病治療の方や、歯周病ケアでは歯石の除去が難しい場合は歯科医師による外科的な歯周病治療を行っていきます。

根管治療の流れ

短期集中治療 / 熟睡無痛治療

当院では、点滴麻酔を用いた静脈内鎮静法や全身麻酔を駆使した歯科治療を提供しています。
歯科治療に対する不安を抱える方や、治療期間を短縮し通院回数を減らしたいとお考えの方にとって、理想的な方法です。

無痛治療について

歯科治療に対する強い恐怖感や嘔吐反射、治療音や痛みへの不安から、歯医者さんへの通院が難しいと感じている方へ、当院では治療中の不快感を感じさせない眠っている間に完了する無痛治療をご提案しています。
静脈内鎮静法による点滴麻酔は、患者様を半覚醒状態に保ちつつ治療を進め、局部麻酔のみの場合に比べ、麻酔が切れるリスクなしに痛みを感じることなく治療を行うことができます。
さらに、この方法には健忘効果もあり、治療後に治療中の不快な記憶を持つことがないため、歯科治療への抵抗感を軽減します。

短期集中治療について

当院では、一回の診療時間を通常よりも長く設定し、結果として通院回数を減らし、治療期間を大幅に短縮する短期集中治療を提供しています。
通常、インプラント治療はインプラント体を骨に埋入後、骨と定着するのを待つ期間が数ヶ月あります。
そのため、治療期間は他の治療よりもやや長くなりますが、来院回数は最短で6日と他の治療と同様に少なく抑えることが可能です。

歯周病と全身疾患

歯周病と全身疾患には深い
繋がりがあることが分かっています

近年、歯周病による全身疾患への影響が注目されてきています。
歯周病と言えば、歯ぐきから血が出る、口臭がするなどと言った、お口の中で様々なトラブルを引き起こす病気であることはご存知の方も多いかと思います。しかし、歯周病は進行すると、身体全体に影響を及ぼすということをご存知でしょうか?

重度の歯周病では、歯ぐきの毛細血管は常に炎症し、傷ついた状態です。毛細血管の傷から、歯周病菌が侵入し、血流にのって全身に流れていきます。身体に入った歯周病菌は、血管内や各臓器でも増殖し、動脈硬化や脳卒中、感染性心内膜症、虚血性心疾患など、命に関わる病気を引き起こす可能性があります。
また、糖尿病と歯周病の進行には、相関関係があることが確認されており、歯周病が進行すると糖尿病も進行し、歯周病が良くなると、糖尿病の状態も良くなるという研究結果が出ています。

その他、低体重児、早産など、妊婦と歯周病の関係や、高齢者の死因となる誤嚥性肺炎などは、歯周病とも非常に関連の深いものであるということが分かっています。
歯周病は、単なる歯ぐきの病気と侮っていると、気がつかない間に全身に悪影響を及ぼしてしまう実は非常に危険な病気なのです。

リスト画像

脳卒中

脳卒中とは、脳の血管が何らかの原因により詰まったり、破れてしまう病気です。脳血管の詰まり、破れによって、脳内の血流が滞ると、命に関わることや大きな障害が残ることもある恐ろしい病気です。
近年、特に脳梗塞では、歯周病が原因となり引き起こされる可能性があることが分かってきました。歯周病菌は、炎症を起こした歯ぐきから毛細血管を通り、全身に流入します。血管内に侵入した歯周病菌は、血管壁の細胞に炎症を起こして動脈硬化(血管壁が厚くなり、血流が悪くなる)を起こすことがあると言われています。
その動脈硬化が脳血管内で起こると、脳内で血流障害が起こり、脳梗塞を引き起こすと考えられています。

糖尿病

糖尿病は生活習慣病の一種で、体内のインスリンというホルモンの働きが低下し、高血糖の状態が慢性的に続いてしまう病気です。
歯周病は糖尿病の合併症とも呼ばれており、糖尿病患者は高血糖の状態が続くことで抵抗力の低下が起き、感染症に抵抗できず感染症にかかりやすい状態になります。
そのため、口腔内で常在菌として存在する歯周病菌にも感染しやすくなります。また、高血糖状態では歯ぐきの血管が弱くなるため、歯周病が進行しやすくなります。
そして、歯周病が原因で、糖尿病の症状を悪化させるということもわかっています。歯周病によって、歯周ポケット内では常に炎症が起き、炎症性物質が歯ぐきの毛細血管を通じて、全身に流入します。
この炎症性物質は、インスリンの働きを抑制する作用があり、糖尿病をさらに悪化させる原因となります。実際に、二型糖尿病患者では、歯周病治療を行いうことによって、糖尿病のコントロールも良くなるという研究データもあります。

早産・低体重

歯周病に罹患する妊婦は早産、低体重児の出生率が高まるとの研究結果があります。
歯周病菌が毛細血管を通り、全身に周り、子宮内に侵入し、胎児の成長の妨げとなったり、子宮内膜に感染し、子宮収縮を引き起こして早産を起こす可能性が考えられています。
また、妊娠によってホルモンバランスが変わり、歯周病が引き起こされたり、悪化することもあります。(妊娠性歯周炎)

感染症心内膜炎

虚血性心疾患とは、心臓に続く動脈=冠動脈からの血流が何らかの原因で悪くなり、心臓の働きに影響を与える病気です。
虚血性心疾患の原因の多くは、心臓に続く冠動脈で動脈硬化であると考えられています。
歯周病菌が歯ぐきの毛細血管から全身に侵入し、冠動脈の血管壁で炎症を起こし動脈硬化となると、心臓への血流が滞り、虚血性心疾患を引き起こします。
虚血性心疾患を引き起こした人では、歯周病罹患率が高く、関係があるのではないかと考えられています。

誤嚥性肺炎

ものを飲み込むと、通常は食塊が食道を通って胃へと運ばれます。しかし、それが誤って気管に入り込んでしまうことを「誤嚥」と言います。
高齢者や全身状態の悪い人では、筋力の低下や、嚥下反射の低下によって、誤嚥が起こりやすくなり、誤嚥による肺炎=誤嚥性肺炎を引き起こしやすくなってしまいます。
誤嚥性肺炎を引き起こす細菌と歯周病菌は、共通する細菌が多く、口腔内の歯周病菌が誤嚥によって肺に侵入し、肺炎を引き起こしていると考えられます。
口腔内に歯周病菌が多ければ多いほど、このリスクは高まると言えるでしょう。

歯周病治療の料金

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